千葉地方裁判所佐原支部 昭和47年(モ)53号 決定
原告 大島英昭
訴訟代理人弁護士 辻享
同 大橋勝治
被告 紺文興業株式会社
代表者代表取締役 池ノ谷好治
訴訟代理人弁護士 浦田乾道
同 小谷圭香
主文
本件申立てを却下する。
理由
(申立ての趣旨)
「本件を東京地方裁判所に移送する」との裁判を求める。
(申立ての理由)
当事者間の頭書事件は当庁に係属中であるが、被告は昭和四七年九月二六日その本店を東京都新宿区に移転し、原告の住所も東京都内であり、当事者双方の申出るべき証人等はいずれも東京都内に在住するので、当庁でこのまま審理を受けるときはいたずらに多額の費用と訴訟の遅延を生ずるおそれがある。そこで、本件を東京地方裁判所に移送するのが相当である。
(判断)
記録によると被告の本店所在地は本件訴状が当庁に提出された昭和四七年六月一〇日当時千葉県香取郡下総町猿山四六五番地であったが、同年九月二六日東京都新宿区百人町一丁目二五番一五号に移転され、同年一〇月五日その登記が経由された事実を認めることができ、また、当事者双方の申出るべき証人等を含む訴訟関係人が東京都またはその近在(埼玉県所沢市等)に在住している事実を認めることができる。ところで、株主総会決議不存在確認の訴えは商法二五二条に照らして適法であるとされているのであるから、その管轄裁判所については同法八八条が準用されるものとみるべきである。これによると本訴は起訴時の本店所在地を管轄する当庁に専属することになる。そうすると著しき損害または遅滞を避けるために本件訴訟を他の管轄裁判所に移送することはできない。よって、民事訴訟法三一条により主文のとおり決定する。
(裁判官 加藤一隆)